俺を好きなら好きとその口で言え 11
その日の夜、俺は天馬先生が顔を出した時に治虎が言っていた事を聞いてみた。
「夫婦の、嫁のほうが浮気して子どもを作ったとして、それを実の夫の子だってごまかすことは出来る?」
天馬先生は変な事を聞くんだなと笑ってから答えた。
「独身の俺にとってはぞっとしない話だが・・・出来なくはないだろうな」
最後に絶対ではないと付け足したが確かにそれは俺でもそう思う、バレない保証はないが確実にバレると決まってもいないだろう、しかし・・・
「じゃあそこでDNA鑑定をやったとして、それをごまかす方法ってのは・・・?」
「また面白い事を考えるな・・・そうだな、本当の父親が誰か分かっているなら不可能でもないな」
「マジで?ってかどうやって?」
「・・・ハイルブロンの怪人って聞いたことある?」
初めて聞く名前だった。
「きっかけはドイツのハイルブロンであった殺人事件、事件の現場から1人の女性らしき人間のDNAが見つかったのを皮切りに、そのDNAの持ち主はフランス、オーストラリアでも事件を起こしていく、姿はまったく見えないのにDNAだけがその女性の存在を示しているという奇怪な事件だった、その女性が“ハイルブロンの怪人”、その女性は語学に長け幾つもの国の言葉を操り、犯罪組織との繋がりもあるのではないかと言われ懸賞金もかけられた」
「またすごい話だな、それでそれとこれとはどう繋がるんだ?」
「その女の正体がこの話の答えだ、ハイルブロンの怪人の正体は警察に綿棒を納入していた業者の従業員、その従業員のDNAがDNA採取用の綿棒に付着していたため警察はそれを事件現場にいた人間のものと勘違いしてハイルブロンの怪人という幻の犯罪者を創り出した」
「間抜けな話だな」
俺は心底そう思った、最初は薄ら寒い感じがした話もこれでは落語もいいところだ。
「確かに間の抜けた話だが、これが今のDNA鑑定の限界だ、正確にはDNA型鑑定だが、とにかく遺伝子に名前は書いてない、血液や口内の粘膜や毛根、人の体のいたるところから採取は出来るが、その反面そのDNAがその人のものだという肝心なところの証明力が弱い」
「それってつまり・・・どゆこと?」
「DNA鑑定をする際に夫のDNAサンプルを真実の父親のものと摩り替えてしまえばごまかしは利くということだ」
「ああ、なるほど」
つまり治虎の母親は、DNA鑑定をする際に父親から採取した血液か何かを本当の父親のものと摩り替えたってことか・・・けど・・・
「もしも、そんなことをやったらどうやったら見破れる?」
「それは難しいな、ちゃんと再鑑定をやれば簡単に露見するだろうけれど、一度DNA鑑定をやって親子証明がされた後にさらに疑うというのは考えにくい、バレるとしたら間抜けな計画者が口を滑らせるか、あるいは・・・」
「あるいは?」
「その夫婦がそもそもセックスをしていないとかで子どもができるはずがなかった場合」
なかなか面白いジョークだ。
「それならDNA鑑定やって親子証明されたほうが余計に怪しいだろう」
「まったくだ」
治虎がどこで自分がカッコウの子だと知ったのか、あるいはただそう思い込んでいるのか、そこのところは分からなかったがとりあえずの疑問は解けた。
しかし、結局のところ俺に重要なのは治虎が誰の子かということより、次に治虎がきたらどうするかということだった。
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「夫婦の、嫁のほうが浮気して子どもを作ったとして、それを実の夫の子だってごまかすことは出来る?」
天馬先生は変な事を聞くんだなと笑ってから答えた。
「独身の俺にとってはぞっとしない話だが・・・出来なくはないだろうな」
最後に絶対ではないと付け足したが確かにそれは俺でもそう思う、バレない保証はないが確実にバレると決まってもいないだろう、しかし・・・
「じゃあそこでDNA鑑定をやったとして、それをごまかす方法ってのは・・・?」
「また面白い事を考えるな・・・そうだな、本当の父親が誰か分かっているなら不可能でもないな」
「マジで?ってかどうやって?」
「・・・ハイルブロンの怪人って聞いたことある?」
初めて聞く名前だった。
「きっかけはドイツのハイルブロンであった殺人事件、事件の現場から1人の女性らしき人間のDNAが見つかったのを皮切りに、そのDNAの持ち主はフランス、オーストラリアでも事件を起こしていく、姿はまったく見えないのにDNAだけがその女性の存在を示しているという奇怪な事件だった、その女性が“ハイルブロンの怪人”、その女性は語学に長け幾つもの国の言葉を操り、犯罪組織との繋がりもあるのではないかと言われ懸賞金もかけられた」
「またすごい話だな、それでそれとこれとはどう繋がるんだ?」
「その女の正体がこの話の答えだ、ハイルブロンの怪人の正体は警察に綿棒を納入していた業者の従業員、その従業員のDNAがDNA採取用の綿棒に付着していたため警察はそれを事件現場にいた人間のものと勘違いしてハイルブロンの怪人という幻の犯罪者を創り出した」
「間抜けな話だな」
俺は心底そう思った、最初は薄ら寒い感じがした話もこれでは落語もいいところだ。
「確かに間の抜けた話だが、これが今のDNA鑑定の限界だ、正確にはDNA型鑑定だが、とにかく遺伝子に名前は書いてない、血液や口内の粘膜や毛根、人の体のいたるところから採取は出来るが、その反面そのDNAがその人のものだという肝心なところの証明力が弱い」
「それってつまり・・・どゆこと?」
「DNA鑑定をする際に夫のDNAサンプルを真実の父親のものと摩り替えてしまえばごまかしは利くということだ」
「ああ、なるほど」
つまり治虎の母親は、DNA鑑定をする際に父親から採取した血液か何かを本当の父親のものと摩り替えたってことか・・・けど・・・
「もしも、そんなことをやったらどうやったら見破れる?」
「それは難しいな、ちゃんと再鑑定をやれば簡単に露見するだろうけれど、一度DNA鑑定をやって親子証明がされた後にさらに疑うというのは考えにくい、バレるとしたら間抜けな計画者が口を滑らせるか、あるいは・・・」
「あるいは?」
「その夫婦がそもそもセックスをしていないとかで子どもができるはずがなかった場合」
なかなか面白いジョークだ。
「それならDNA鑑定やって親子証明されたほうが余計に怪しいだろう」
「まったくだ」
治虎がどこで自分がカッコウの子だと知ったのか、あるいはただそう思い込んでいるのか、そこのところは分からなかったがとりあえずの疑問は解けた。
しかし、結局のところ俺に重要なのは治虎が誰の子かということより、次に治虎がきたらどうするかということだった。
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